近視治療

以前、近視は日本人の代名詞とも言われていましたが、その後アジア人の近視が増加し現在では世界的に近視人口は増えていると言われています。
近視に一旦なると、近視が治ることはなく、コンタクトレンズや眼鏡などで視力を維持しなければなりません。
また強度近視になると、網膜剥離、緑内障、網脈絡膜萎縮などの原因による失明のリスクがあります。
そのためにも、小児期、成長期における近視進行の抑制が、今後の重要な鍵になります。
医学的に近視抑制に効果があると証明されているのは、低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー、累進焦点コンタクトレンズです。
低濃度アトロピン点眼治療にオルソケラトロジーを併用する方法が最も推奨されます。


日本近視学会監修「親子で学ぶ近視サイト」
https://kinshi-yobou.com



(1) 低濃度(0.01%)アトロピン治療

今まで、小学生くらいで近視が進行している方にはトロピカミド(ミドリンMなど)という目薬を処方していました。
この目薬はたいていの眼科で使われていますが、残念ながら効果が弱く、満足のいく治療成績をあげられていません。
アトロピンは散瞳(瞳孔を開く)作用があることで知られ、古くから治療や検査目薬として使われてきました。
強力なピント調節麻痺作用があり、斜視や弱視の診断には欠かせない目薬です。
近視の進行を抑制する効果があることも昔からわかっていました。
しかしながら、実際に使ってみると、散瞳作用のために非常にまぶしく、ピント調節麻痺作用のために字の読み書きが困難になってしまいます。 そういった理由で、アトロピンは副作用が強いので近視予防には使えないと考えられてきましたが、ここ数年アトロピンは見直され、再び近視予防に使われ始めました。
濃度を薄くしても十分効果があるという報告が相次いだからです。
もともと近視進行抑制効果はピント調節麻痺作用と不可分と考えられていたので、調節麻痺作用がなくなるほど薄めたら近視抑制効果もなくなるに違いないと みんな信じていたのですが、その後かなり信頼性の高い追試が行われ100倍に薄めても効果があったと報告されました。
倍に薄めれば散瞳作用も調節麻痺作用も通常ほとんど問題になりません。
報告でも、ピント調節力、瞳孔の大きさ、近方視力とも無投薬群との差は無視できるほど小さかったとのことです。
一番多かった副作用はアレルギーで、これは投与を中止すれば治りますので心配ありません。
低濃度アトロピン投与の対象者は「近視が進行しそうな子供」です。
近視は小学校低学年から高校くらいまで進行するリスクがありますから、何年も続けることになると思います。
また、眼鏡処方をした場合でも、それ以上近視を進行させない意味があるので、ご希望があれば継続することになります。


低濃度(0.01%)アトロピン点眼薬使用にあたって

・当院での低濃度アトロピン点眼による治療は通常の保険適応内の診療です。
・当院で処方する点眼薬は、医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を満たした施設(調剤薬局)で濃度を調整したものです。
・またお受け取りになる薬局は定められた場所で調剤した薬局に限られますので、どこの薬局でも手に入るわけではありません。
   現在のところ さくら薬局(旧アップル薬局) 限定での販売です。

・点眼薬は1日回寝る前に点眼してください。寝る前以外には点眼しないでください。
 点眼後は30秒ほど目がしらを軽く押さえて鼻に流れ込まないようにしてください。
   1回に1本の処方となります。
   1本の使用期限は1ヶ月です。1ヶ月過ぎたら残っていても捨ててください。

・毎月〜隔月1回診察時に次の検査をしますので、必ず受診してください。
   屈折、裸眼視力、矯正視力、瞳孔径、その他必要と思われる検査。

・ワック等続けられる方はそのまま継続してください。

(2) オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは就寝時にコンタクトレンズを装用して角膜のカーブを矯正することによって近視を弱くする治療法です。
日中は眼鏡やコンタクトレンズの使用が必要なくなります。
治療をやめると元の近視に戻ります。
また低濃度アトロピン点眼治療との併用で眼球の伸展(近視化)が抑制されるという報告があり、強度の近視になることを防ぐことが可能とされています。
オルソケラトロジーは保険適応外の治療になりますので、自費での診療をお受けいただきます。
調節けいれんに対する低濃度アトロピン点眼の治療は今まで通り保険診療の適応ですが、自費診療と同じ日にはお受けいただけませんので、 日を変えて受診する必要があります。



  ★★当院での治療の流れ★★

1)適応検査とトライアル装用 費用:5500円(税込)

  オルソケラトロジーレンズの装用に適しているかどうか、近視の度合いや眼の状態を調べる「適応検査」を受ける必要があります。
  問題がなければ院内のトライアルレンズを装用していただけます。短時間ですがオルソケラトロジーの効果が体験できます。
  約90分かかります。


2)お試し装用(約1週間)預かり金 両眼48000円 片眼24000円(税込)

  トライアルで装用を確認した後、ご本人にフィットしたレンズを注文し、届き次第お試し装用を開始します。
  約1週間のお試し後、再診し問題なければそのまま装用継続となります。治療をやめる場合は預かり金を返金いたします。
  治療を継続される場合は預かり金はコンタクトレンズ代金となります。


3)治療の継続(1年契約)>契約金 両眼132000円 片眼88000円(税込)

  契約に含まれるものは

  •1年間の定期検診費用(1w、1M、3M、6M、9M、12M)
  •ケア用品(1ヶ月分)
  •専用レンズの破損交換保証(1年以内片眼1回ずつ、破片あれば)
  •専用レンズの処方交換保証(1ヶ月以内、片眼1回ずつ)

4)定期検査(1年契約、3ヶ月に1回)契約金 年24000円(税込)

  治療を続けている間は医師の指示に従って定期検査を受けます。
  通常は3ヶ月に1回が目安で、視力、角膜形状の検査、レンズの検査などを行います。


5)その他

  オルソケラトロジー治療中に眼科医が必要と判断した場合には眼科的治療をお受けください。
  別途保険診療での治療費がかかります。
  医療費控除の申請が可能です。領収の再発行は出来ませんのでご注意ください。

 

オルソケラトロジーレンズのご紹介

https://www.menicon.co.jp/ortho/ - 1

 

(3)累進焦点コンタクトレンズ

  低濃度アトロピン治療やオルソケラトロジー治療効果の期待出来ない場合は累進焦点コンタクトレンズを用いた治療をおこないます。
  累進焦点とはいわゆる遠近両用ですが、このコンタクトレンズを装用することで近見時の過度な負荷を軽減させることができます。





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