白内障について
白内障とは
白内障(はくないしょう)は眼の中の水晶体が濁ってくる状態をいいます。眼球はカメラと同じ構造をしています。
カメラのレンズの役目をしている水晶体が濁ると視力が低下したり、かすんだりしてきます。
初期の白内障では進行予防の点眼薬で様子を見ますが、白内障が進行すると手術が必要となります。
当院では日帰りの白内障手術を行っています。
白内障の手術
当院では「小切開白内障手術」を行っています。
白内障の手術は濁った水晶体を除去し、眼内レンズ(人工水晶体)を眼の中に挿入するものです。
麻酔は点眼麻酔薬を用い、注射はありません。
角膜(くろめ)の上方を2.2ミリから2.4ミリ切開し、眼の中に入ります。
水晶体の表面の「前嚢」を円形に切開し、混濁した水晶体実質を超音波装置で粉砕、吸引します。
空虚になった水晶体嚢の中に眼内レンズを挿入して手術は終了します。正味の手術は約
10分〜20分です。
眼内レンズについて
現在眼内レンズにはいくつかの種類があります。
T:単焦点眼内レンズ
焦点が1カ所に合う眼内レンズです。この眼内レンズはピント調整ができませんので、手術後は眼鏡によるピント調整が必要です。一般的には今まで遠視だった人には遠くにピントを合わせ、手元は老眼鏡を用います。今まで近視だった人には手元にピントを合わせ、遠くは近視の眼鏡を用います。
U:多焦点眼内レンズ
ピントが遠方以外に中間や近方にも合う高機能眼内レンズです。現在数種類の多焦点眼内レンズがあります。
(1)二焦点眼内レンズ:いわゆる遠近両用の眼内レンズです。遠方と40cm、あるいは50 cmにピントの合うレンズです。
中間はぼやけます。
(2)三焦点眼内レンズ:遠方と60 cm, 40 cmにピントが合うレンズです。
(3)焦点深度拡張型眼内レンズ:遠方から中間まで満遍なくピントが合うレンズです。近方はややピントがあまくなります。
V:トーリック眼内レンズ
角膜乱視の強い場合に適応となる乱視補正機能の付いた眼内レンズです。単焦点、多焦点ともにトーリックレンズがあります。
☆☆選定療養について☆☆
令和2年4月より多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は厚生労働省の定める「選定療養」の扱いになりました。
これにより、白内障の手術部分は健康保険での適応となり、眼内レンズの差額分だけが自費での支払いとなりました。
手術の危険性について
術後高眼圧:手術後に一時的に眼圧が上がることがあります。点眼や内服で治療します。
術中破嚢:手術途中に水晶体の嚢が破れることがあります。
損傷が強いと眼内レンズの固定ができず、あらためて眼内レンズの縫着手術が必要になることもあります。
術後眼内炎:術後に細菌が眼内に入り感染を起こすことがまれにあります。
軽症であれば点眼や内服、点滴などで治療できますが、重症になると再手術が必要になります。
駆逐性出血:手術中に眼内から高度の出血をきたすものです。数十万人に一人の発生頻度と言われています。
後発白内障:術後数か月から数年の経過で水晶体嚢が濁ってくることがあります。ヤグレーザーという装置を用いて治療できます。
術後の経過
手術後の1週間は注意深い観察と保清が必要です。
洗顔や洗髪もこの期間は控えていただきます。またカッペ(金属眼帯)や保護眼鏡をかけて過ごしていただきます。
点眼は手術後1〜3か月継続します。